2009.03.12 : 平成21年第1回定例会(第4日目)

【18番(中島資浩議員)】 まず初めに、雇用、景気対策についてお尋ねいたします。
 昨年9月のアメリカ発世界同時金融危機の影響は、本市にも色濃くその影響を落としております。日銀前橋支店が去る3月2日に発表しました管内金融経済概況によりますと、1月の大型小売店売上高が前年同月比マイナス4.8%、1月の乗用車新車登録台数は前年比マイナス21.7%、1月の新設住宅着工戸数は前年同月比22.7%と大幅に悪化しております。こういった深刻な状況にある中で、過日の平成21年度当初予算の市長説明においても、また予算編成の基本的な考え方として掲げられました6項目の中にも景気、雇用対策について強い決意のほどがうかがえず、率直に言って市民感覚との隔たり、危機意識の乏しさを感じ、まことに残念でなりません。そこで、市として現下の本市の経済状況をどのようにとらえ、分析、評価しているか。また、それをどのように平成21年度当初予算案、平成20年度補正予算案における景気、雇用対策として反映されているかお伺いいたします。
 次に、広瀬川河畔緑地整備事業についてお尋ねいたします。ご案内のとおり、本事業は平成19年度より平成21年度までの3カ年計画で、国道17号線にかかる厩橋から中央前橋駅近くの久留万橋までの両岸のバリアフリー化を図るとともに、前橋のシンボルである広瀬川河畔の魅力を高めるために行われているものと認識しております。しかし、先月この工事中に朔太郎橋近くの桜の大木が倒れ、広瀬川と周辺景観を愛する市民からは惜しむ声を聞いております。そこで、工事の施工上に問題がなかったかお伺いいたします。
 また、このたびの再整備に伴って柳と桜が大分伐採されたようでありますけれども、伐採した理由とその内容についてお伺いいたします。
 最後に、前橋工業団地造成組合への補助についてお尋ねいたします。このたびの平成20年度3月補正予算案に前橋工業団地造成組合への補助として16億5,000万円が計上されております。ここ数年赤字決算が続く中で、総務省に提出した経営健全化3カ年計画において本年度黒字化を図ることとなっておりましたが、それを果たせず、初めて一般会計から補てんせざるを得なくなったということであります。従来から組合の運営上の問題について抱いていた不安が、ついに現実のものになったといった印象であります。現下の大変厳しい経済情勢を考えますと、なかなか好転は難しく、まだしばらくは大変厳しい財政運営が迫られるものと思われますが、構成団体として今後の財政運営と事業の見通しについてどのようにとらえているのかまずお伺いいたしまして、第1質問といたします。

【財務部長(眞塩浩一)】 まず、現在の本市の経済状況をどのようにとらえているかということですが、国内外の急激な景気後退の影響を受け、既に20年度の3月補正予算においても個人及び法人市民税ともに減収が見込まれるとともに、市内中小企業の雇用調整助成金の申請者数が4,000人に達しようとしている状況であります。また、日銀短観による前橋管内の景気動向やGDPの大幅な落ち込みなどからも、本市の経済状況は大変厳しい状況にあると認識しております。
 次に、景気対策事業予算、雇用対策事業予算についてでありますけれども、現在の景気低迷は今後ますます深刻化し、長期化が懸念されますので、厳しい状況がしばらく続くと見込んでおり、景気回復のためにはこれまでも継続して取り組んできた市民の将来にわたる生活不安の解消を図る安全で安心して暮らせる施策を展開することが最も重要であると考えております。21年度予算あるいは20年度補正予算では、子供医療費の無料化や介護保険料の引き下げを初めとする子育て支援や高齢者福祉施策のほか、道路の整備、補修、区画整理、教育施設や公園の維持修繕などの生活密着型公共事業に加え、緊急雇用対策事業を活用した雇用対策事業も盛り込んでおります。このように暮らし優先と経済の活性化による雇用創出の両面からの予算措置を図ったところでございます。

【都市計画部長(小池茂)】 倒れた桜について、工事施工上の問題がなかったかというご質問でございますが、城東町立体駐車場の西側でソメイヨシノが1本、1月20日に倒れました。この場所では、広瀬川河畔緑地再整備事業を実施しておりますので、公園管理事務所の職員と立ち会いをいたしまして、調査をしたところ、根の下に建築物の解体廃棄物など著しく不良なものがあったため本来樹木を支えるべき太い根が張れなかったことが原因ということで、工事施工上の問題ではないということを確認いたしました。そこで、この桜は根の状況などから復旧は困難と判断をいたしまして、やむを得ず伐採処理をしたものでございます。

【建設部長(津金昇)】 広瀬川河畔緑地の樹木につきましては、平成16年度から樹木医によりまして柳橋から桃井橋までの間の樹木診断調査を行いました。その結果、樹勢や倒木等の危険度から伐採を要するものや経過観察を要するもの、そして健全な樹木に分類し、順次その対応をしてまいりました。今回の再整備に当たっては、その診断結果に基づき再整備と伐採工事との重複を避けることから、まちづくり課と協議を行い、シダレヤナギ9本、ソメイヨシノ4本の伐採を行いました。

【財務部長(眞塩浩一)】 前橋工業団地造成組合の今後の財政運営でございますが、この6年間は販売促進に努めてまいりましたものの、景気の低迷などから土地の売り払いが進まず、赤字運営を余儀なくされてまいりました。このため、ご質問にもありましたが、総務省の指導により18年度から3カ年の経営健全化計画を立て、収支の改善に努めているところであります。しかし、昨年末以来厳しい経済不況に陥り、工業団地に引き合いのあった企業から購入の見合わせが相次ぐなど、土地売払収入は一層の不振を強いられております。このため本年度中に黒字化を図るという総務省の指導とこれまでの市税収入への多大な貢献を踏まえ、市から組合へ支援をするものでありますが、景気回復の展望が見えない状況にあることから、当面は工業団地及び住宅団地の販売は明るい兆しが期待できないのが実情であります。
 今後につきましては、新規事業として朝倉工業団地拡張事業が予定されておりますが、現時点では既存の工業団地、住宅団地の販売が中心になりますので、完売に向け、市の企業誘致条例の優遇策を活用した市外企業の積極的な誘致活動や住宅ローン減税拡大のPRによる住宅団地の販売促進、さらにはローズタウン住宅団地の未着手地の対策等、市としても全力で取り組み、経営改善が図れるよう強力にバックアップをしてまいりたいと考えております。

【18番(中島資浩議員)】 ありがとうございました。引き続き第2質問をさせていただきます。
 初めに、景気、雇用対策についてお尋ねいたします。まず、景気対策についてでありますが、昨年来何かと論議を巻き起こしております定額給付金でありますが、本市で約49億円の給付が予定されております。市内の中小商業者からは、ぜひ地元に落としてもらいたいという大きな期待が寄せられておりますが、これをできる限り地域で使ってもらえるよう何らかの仕掛けができないものかと考えております。そこで、地域の商業振興といった観点から、経済団体等より協力を求められた場合、ぜひ市として協力すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、雇用対策についてであります。国の交付金を利用した雇用創出事業として、新年度予算で約2億2,300万円余が予算計上されております。その内訳は、雇用期間を6カ月未満とする緊急雇用創出事業として約1億6,300万円余、原則1年以上最長3年間とするふるさと雇用再生特別基金事業として約6,000万円余となっております。しかし、私はこの100年に1度の経済危機と言われておりますピンチをチャンスにかえるべく、むしろこのふるさと雇用再生特別基金事業に力を入れ、これまで新規雇用の創出が難しかった分野に、戦略的に雇用を生み出すような仕掛けをすべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。
 次に、広瀬川河畔緑地再整備についてお尋ねいたします。先刻も申し上げましたとおり、本来広瀬川の魅力を高めるはずの事業において、原因、理由はともあれ、広瀬川の象徴である桜の大木が倒れてしまったことはまことに残念であります。ぜひこのたびの教訓を今後の整備に生かし、工事に当たっては事前に十分な養生をするなど慎重な対応を強く要望いたします。
 さて、広瀬川と言えば柳と桜といったイメージが市民には強く根づいておりますが、広瀬川の魅力ある景観を取り戻すために柳と桜の再植樹を期待する声を聞いております。そこで、今後の柳と桜の再植樹の考え方についてお伺いいたします。
 最後に、前橋工業団地造成組合の補助についてお尋ねいたします。先ほどご答弁いただきましたように、大変厳しい経済状況下でありますが、まずは造成団地の販売促進を強力に推進していただくほかありません。しかし、同時に今後の前橋工業団地造成組合のあり方についても総合的見地から見直すべき時期に差しかかっているのではないかと考えております。そこで、今後の前橋工業団地造成組合の方向性について、構成団体としてどのようなお考えかをお伺いいたしまして、第2質問といたします。

【商工部長(諸岡恒利)】 商業振興の観点から、経済団体等から事業実施の協力を求められた場合の対応については、事前にご相談を受けた上で検討させていただきたいと考えております。
 それから、雇用創出事業につきましては、国の第2次補正予算の成立を見込みながら、短期間のうちにできるだけ多くの雇用創出事業を見出し、2億円以上の事業費を新年度予算案として提案させていただきました。今回は、県の説明会から事業の取りまとめまでの期間が短時間であったため、防犯巡回や樹木の伐採業務などの短期間に完結する事業の割合が大きくなっておりますが、この雇用創出事業は平成21年度から23年度までの3カ年事業となっておりますので、市の政策と合致した長期継続事業が取り込めれば積極的にこの制度を活用し、継続した雇用の創出を図ってまいりたいと考えております。以上です。

【建設部長(津金昇)】 広瀬川河畔緑地のシダレヤナギや桜は、水と緑と詩のまちを標榜する本市のイメージや街なかの河川として、そして都市に残る自然要素として大変重要なものと考えております。緑地の再整備に当たっては、シダレヤナギや桜を補植しますが、今後は河畔緑地と周辺との全体の景観を考慮しつつ、柳と桜を中心に順次補植を進めたいと考えております。

【財務部長(眞塩浩一)】 前橋工業団地造成組合の今後の方向性でございますが、当該組合は昭和35年に設立以来これまで半世紀にわたり21カ所の工業団地を造成し、400を超える企業を誘致いたしました。また、住宅団地は16カ所の造成により3,400を超える区画を分譲し、市税の増収及び雇用の確保を初め市財政と地域経済の振興に多くの貢献をしてまいりました。今後は、現在予定されている朝倉工業団地拡張事業以外は新たな工業団地や住宅団地の着手を予定しておりませんので、この事業を1つの節目ととらえ、今後組合のあり方について構成団体である県等と協議を進めていく時期にあるのではないかと考えております。いずれにいたしましても当面は、組合本来の目的である既存団地の早期完売に向けて市としても最大限協力していきたいと考えております。

【18番(中島資浩議員)】 ありがとうございました。それでは、最後に何点か要望をさせていただきます。
 初めに、景気、雇用対策についてであります。まず、景気対策における定額給付金についてでありますが、49億円は巨額であり、現下の大変厳しい財政状況の中で市が単独で財源を生み出すには到底困難な数字であります。せっかく国が打ち出した景気対策でありますので、でき得る限り地域経済対策として有効活用できるよう地元経済団体等との連携を強く要望いたします。あわせて定額給付金をねらった詐欺の横行も心配されますので、十分な注意を喚起されますようお願いいたします。
 また、県がことし1月に行いました緊急経済対策、中小企業実態調査の結果によりますと、資金繰り対策に対する期待が最も多くなっております。返済時の負担をできる限り軽減するために融資利率を極力引き下げてほしいという声を耳にしておりますので、ぜひとも前向きなご検討をお願いいたします。
 次に、雇用対策についてでありますが、一例を挙げれば本市は農業都市でありますが、その一方で後継者不足、遊休農地の問題を抱えております。新規就農者を確保するためにふるさと雇用再生特別基金事業を活用できないかと考えております。ぜひご検討のほどをお願いいたします。
 いずれにいたしましても私は、厳しい時代の今こそ政治、行政の出番であると思っております。市民の皆さんは、行政として市民の生活を守るために、ありとあらゆる手段を使って景気、雇用対策に全力を尽くすという市長の力強いメッセージと、それに裏づけされる施策を期待しているのではないでしょうか。プロジェクトチームを立ち上げるなど全庁挙げての総合行政的見地からの取り組み、さらには官民一体となっての取り組みも必要と思われますので、前向きな取り組みをお願いいたします。
 最後に、前橋工業団地造成組合の補助についてであります。赤字補てんの16億5,000万円は、大変な金額です。平成20年度末における一般会計の借入金残高見込みは、大変厳しい財政運営の中で努力に努力を積み重ねてようやく前年度末より約10億円余の削減が見込まれるということでありますが、せっかく借入金残高を減らしても一方で毎年多額の補助をするということになりますと、元も子もありません。先ほどのご答弁にもありましたけれども、私は組合がこれまで本市に果たしてきた役割を決して否定するものではありません。しかし、とはいえ今の現状をただ見過ごすわけにもまいりません。とにかく十分検討の上、最善の解決策を見出していただきますよう強く要望いたしまして、すべての質問を終わります。ありがとうございました。

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