2002.06.20 : 平成14年第2回定例会

【2番(中島資浩議員)】 総括質問をさせていただきます。

 初めに、本市の財政状況についてお尋ねいたします。現在国、地方をめぐる財政は、長引く不況のもと大変厳しい状況に置かれており、国、地方を合わせての長期債務残高は平成14年度末で約700兆円に達する見込みです。過日の新聞報道によりますと、5月末アメリカ合衆国の格付会社でありますムーディーズ・インベスターズ・サービスによる日本国債の格付が、主要7カ国でいまだかつて例のない上から6番目のA2まで一気にツーランク引き下げられ、先進国中最も低い評価となったとのことでありますが、その最大の理由として、戦後先進国が経験したことのない未知の領域に入りつつあると表現された巨額の財政赤字が挙げられております。本市の起債残高も平成14年度末見込みで一般会計で約1,200億円、企業会計における水道事業で約200億円、下水道事業で約500億円、特別会計を含めると総額で約2,000億円近い残高となっておりますが、これは本市の一般会計予算のほぼ2倍近くに及ぶ額であります。また、平成12年度地方財政状況調査によりますと、財政構造の弾力性を判断する三つの指標では、本市の場合経常収支比率は約85.9%、公債費負担比率は約14.9%、起債制限比率は約11.8%となっており、硬直化が懸念される大変心配な財政事情にあると言わざるを得ません。後世に重い負担を残さないためにも、今この問題の解決に向けて真正面から取り組む必要があると考えます。そこで、本市の起債残高の現状をどのようにご認識されているか。また、今後これを減らすためにどのように取り組むお考えか、ご所見をお伺いいたします。

 次に、民間活力の導入についてお尋ねいたします。現下の厳しい社会経済情勢から判断いたしますと、当面税収等の大きな伸びを期待することは大変困難であり、さらにはこれ以上起債残高をふやさないためにも、その発行額の抑制が必要となると思われますが、そのためには限られた財源をいかに有効に使うかという視点が最も重要であると考えます。つまり市民に対するサービスレベルがほとんど変わらないとすれば、コストの高いシステムからよりコストの低いシステムに切りかえ、それによって新たな財源を生み出すということです。そして、その具体的な方法として、コストの高い公立、すなわち直営からよりコストの低い民間または嘱託、パート等に切りかえることが有効であると考えます。地方自治行政に経営的手法の導入を訴える地方自治経営学会が平成11年秋から平成12年5月にかけて行った公立と民間とのコスト・サービス比較の調査で、全国延べ316の自治体を対象とした分析結果が公表されております。その中で特に重要なものとして挙げられている22項目中の3項目について、本市の状況に照らし合わせ、その現状をお尋ねいたします。

 第1に、ごみ収集についてであります。公立のコストを100とした場合の民間のコストは、可燃ごみ収集がトン当たり経費で44.6%、不燃ごみ収集が同じく54.2%という数値が示されております。そこで、本市のごみの品目別収集における直営あるいは民間委託等の状況とそれぞれの収集量並びにその割合の比較及びごみの品目別収集量、トン当たりのコスト比較についてお尋ねいたします。

 第2に、学校給食業務についてであります。同様に公立のコストを100とした場合の民間コストは、1人当たり経費については正規職員と嘱託員とをコスト比較で22.2%という数値が示されております。そこで、学校給食業務における直営、民間委託等の状況並びにそれぞれについての1人当たりのコスト比較についてお尋ねいたします。また、子供たちの夏季休暇等長期休暇中、学校給食業務は休みとなると思いますが、その間学校給食業務に携わる方々はどのように過ごされているのか、お伺いいたします。

 第3に、学校用務技士さんについてであります。これについても公立のコストを100とした場合の民間コストは、正規職員と嘱託員との1人当たりのコスト比較で29.8%という数値が示されております。そこで、学校用務技士さんの業務内容、採用形態、人員配置等の現状並びに人件費総額とそれぞれにおける1人当たりのコスト比較についてお伺いいたします。

 最後に、市営住宅についてお尋ねいたします。本市における現在の市営住宅の管理戸数は、本市全世帯数の約5%に当たる5,465戸となっており、類似都市に比べかなり多い数となっているようであります。その意味では、本市がこれまで積極的に進めてきた公営住宅政策は一定の評価が得られたものと思います。しかし、その一方で全体の約64%に当たる3,472戸は昭和50年代以前に建設されたものであり、これらの老朽化が著しく、現在公営住宅ストック総合活用計画の本年度中の策定に向け、検討が進められているとのことでありますが、その背景と計画策定に当たってポイントについてお伺いいたしまして、第1質問を終わります。

【総務部長(齋藤亨光)】 本市の財政状況、特に起債の関係ですが、まず起債残高についての認識ですが、近年の国レベルでの地方財政をめぐる変化により、恒久減税による減税補てん債、地方財政対策による臨時財政対策債など交付税措置される起債がふえたこともあり、本市においても一般会計では予算規模を上回る起債残高になっております。平成14年度当初予算において、公債費は歳出全体の1割余りを占めており、教育費とほぼ同様な予算規模になっております。さらに、公債費比率や起債制限比率についても年々上昇してきていることから、本市の財政にとって大変厳しい状況であると認識をしております。

 次に、起債残高を減らすための取り組みですが、今後につきましては起債の発行を極力抑制することとし、これまで以上に適債事業を厳選し、起債残高の減少に努めてまいりたいと考えております。

【生活環境部長(藤井正彦)】 ごみ収集のご質問のうち、まず直営と委託のごみ品目別収集量とその割合につきましては、平成12年度実績で申し上げますが、可燃ごみでは直営が2万3,695トンで、その割合は約36%です。委託が4万1,719トンで約64%です。不燃ごみにつきましては直営が3,393トンで約37%です。委託が5,735トンで約63%です。資源ごみにつきましては直営が1,689トンで約33%です。委託が3,369トンで約67%となっております。

 次に、収集コストにつきましては、委託料の積算に品目別の考え方を取り入れてございませんので、収集量全体での比較となりますが、平成12年度実績で1トン当たり直営が1万5,200円、委託が1万178円となっております。

【管理部長(阿部明雄)】 まず、学校給食関係ですけれども、学校給食業務の運営の現状につきましては61校に対しまして五つの共同調理場において直営方式で調理、配送を行っており、一部食器洗浄、炊飯業務については民間委託をしております。職員体制ですが、調理業務では正規職員75人、臨時職員36人、延べ111人で実施しております。配送業務については、運転技士17人と配送補助を行う臨時職員の添乗員15人で行っています。学校給食業務のコストについては、臨時職員は午前と午後の勤務体制となっており、一概に比較はできませんが、平均いたしますと年間人件費で正規職員1人当たり735万円に対しまして、臨時職員が1人当たり119万円であります。

 次に、夏休み中の業務としては、食器具等の洗浄作業、厨房器具等の調整修繕、浄化槽の汚泥引き抜き作業等を行うとともに、大室公園、児童文化センターでの除草作業を6日間程度行っております。また、市民プールの受付業務等も行い、そのほかに給食業務にかかわる衛生管理についての全体研修などを行っております。

 次に、用務技士関係でございますけれども、用務技士の主な仕事内容につきましては、学校内の環境整備、朝夕のかぎの管理などを含めた施設の維持管理、関係機関等への文書送達や給食配膳及び学校の諸業務を行っています。また、用務技士の配置状況につきましては、小中学校など62校に1校当たり2人を基本といたしまして、正規職員116人、嘱託員9人を配置しておりまして、用務技士全体の人件費は約8億9,000万円となっております。正規職員と嘱託員のコスト比較についてですが、勤務時間の違いがあり、一概に比較はできませんけれども、正規職員1人当たり約751万円、嘱託員1人当たり236万円となっております。

【建設部長(高橋利三郎)】 市営住宅のストック総合活用計画策定の背景でありますが、既設公営住宅の改善事業はこれまで外壁改修や設備改善など個別の補助メニューにより対応してまいりましたが、昭和40年代から50年代に全国的に建設された大量の公営住宅は、今後一斉に更新する時期を迎えることとなります。このため国においては既存ストックの活用を住宅政策の重要課題としてとらえ、これまでの補助制度体系が見直され、公営住宅ストック総合活用計画に基づき、より計画的に改善を行う体系へ再編した公営住宅ストック総合改善事業が平成12年度に創設されました。これを受け、地方公共団体が計画策定し、総合的かつ多様なストック活用を図ることとしております。また、ストック総合活用計画のポイントでありますが、まず団地や入居者の属性、居住水準などの概要を整理し、本市における市営住宅の需要と役割を分析いたします。これをもとにストック活用の基本理念、目標を定めまして、団地別の活用計画を設定するものであります。この期間は10年間とし、必要に応じてその時点で見直しを図ることとしております。

【2番(中島資浩議員)】 ありがとうございました。第2質問に移らせていただきます。

 まず、民間活力の導入について、さらにお尋ねいたします。初めに、ごみ収集についてであります。先ほどのご答弁によりますと、本市においては直営と委託のコスト比で、委託は直営の約3分の2のコストで済んでいるとのことであり、ごみ収集の3分の1を占める直営部分も民間委託を進めるべきであると考えます。そこで、直営と委託の収集コストの格差の要因をどのようにご認識されているか、ご所見をお聞かせください。また、直営と委託で市民サービスに格差が生じるなどの問題はあるのか、お伺いいたします。

 次に、学校給食業務についてであります。先ほどのご答弁によりますと、正規職員と臨時職員とのコスト比較で臨時職員は正規職員の約6分の1のコストとなっているとのことであり、今後は正規職員から臨時職員に、また直営から委託にシフトしていく必要があると考えます。この2学期からは新南部共同調理場がスタートし、前橋広域市町村圏振興整備組合では現在富士見村との学校給食施設の共同設置も進められておりますが、今後の人員配置の基本的考え方と調理業務や配送業務等における民間委託等の見通しについてご所見をお伺いいたします。

 次に、学校用務技士さんについてであります。先ほどのご答弁によりますと、正規職員と嘱託のコスト比較で、嘱託は正規職員の約3分の1のコストで賄われているとのことであり、また業務内容からいたしましても、民間委託あるいはシルバー人材の活用等も可能ではないかと考えます。そこで、現状をどのようにご認識されているか、また民間委託等コスト削減対策について今後どのように取り組むお考えか、お伺いいたします。

 最後に、市営住宅についてお尋ねいたします。本市の大変厳しい財政状況を考慮した場合、果たして今後も引き続きこれまでと同様のスタンスで市営住宅を市民に供給する必要があるのか、甚だ疑問であります。政府が平成10年10月に行った住宅実態調査によりますと、本市の借家における収入額別、所有関係別の世帯数は、一例を挙げますと200万円未満所得世帯の場合、全体で8,810世帯のうち公営1,600世帯、18.2%に対して7,210世帯、81.8%が民営に入居している実態であり、所得額と公営住宅の利用には特別に相関関係はないという現実があります。そこで、今後は新規建設をやめ、また建てかえの時期に差しかかったときを契機に民間の賃貸住宅にシフトし、新たに補助制度の導入を図る方法がより現実に即していると考えますが、ご所見をお伺いいたしまして、第2質問を終わります。

【生活環境部長(藤井正彦)】 ごみ収集の直営と委託の収集コストの格差の要因につきましては、担当している収集区域におけます人口、それと世帯数の差が大きな要因であると考えております。

 次に、市民サービスの格差の問題につきましては、直営と業者との差が生じてはいけないわけでございまして、常に清掃行政を理解してもらって清潔な環境衛生の保全に留意するとともに、市民サービスの向上に努め、従業員の指導育成を図り、収集業務がより一層円滑に遂行できますよう指導教育しておりますことから、市民サービスに格差は生じていないものと考えております。

【管理部長(阿部明雄)】 調理場の人員配置につきましては、コスト縮減の立場から、退職等による正規職員の補充については引き続き臨時職員を雇用することで対応していきたいと考えております。

 調理業務及び配送業務の民間委託につきましては、学校給食における栄養面、安全面、教育的な意義を配慮しながら、実施に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。

 次に、用務技士のコスト面に対する現状認識といたしましては、効率的な財政運営の面から教育費の充実をする中で管理経費の縮減が基本であると考えます。委託化につきましては、現段階では学校での適切な管理運営を保つ観点から、用務技士の民間委託については考えておりませんが、フレックスタイム制の導入とあわせ、嘱託員制度の活用をする方向で検討してまいりたいと考えております。

【建設部長(高橋利三郎)】 今後の市営住宅の供給、整備の件でございますが、管理の適正化を図りつつ、官と民との役割分担、公営住宅の理念などを分析し、このストック総合活用計画の中で可能性を検証し、方向性を見きわめてまいりたいと考えております。

【2番(中島資浩議員)】 ありがとうございました。最後に、民間活力の導入について要望させていただきます。前述した地方自治経営学会による公立と民間とのコスト・サービス比較の調査によりますと、公立のコストを100とした場合の民間コストについて、一例を挙げますと、まず一般的業務では運転手つき公用車が16.3%、庁舎清掃業務が47.6%、電話交換業務が34.7%、市役所案内業務が31.6%となっております。また、さまざまな施設管理業務では体育・スポーツ施設が72%、文化会館、市民会館などが74.2%、児童館が社会福祉協議会等に委託で44.9%、地元ボランティア等を活用で18.4%、老人福祉センターが86.1%、コミュニティーセンターが44.3%、ごみ焼却場が76%、水道事業浄水場が70.3%、下水処理場が47.6%、さらに施設運営関係では保育所が27.4%、幼稚園が28.7%、学童保育が35%との数値が示されております。こういった公立のコスト高の要因を分析した結果、働き量の違いによるものとしてごみ収集と保育所、継続して仕事がない業務にフルタイムの正規職員が充てられているものとして学校給食業務、運転手つき公用車と学童保育、公務員でなくてもできる比較的単純な労務に給与の高い正規の公務員が充てられているものとしてスポーツ・文化施設等の施設管理、学校用務員、警備員等が挙げられております。また、公立と民間とのサービス比較調査によりますと公立と民間の差はない、あるいは逆に民間の方がすぐれているとの調査結果が得られており、コスト面で民間は公立のおおむね半分以下であることから、公立と民間とでサービスが仮に同じ水準とすれば、税金を2倍以上も投入することは著しく不合理、大変な税金のむだ遣いであると言わざるを得ません。

 なお、直営から民間、嘱託、パート等に切りかえることによって生み出される財源は、人口10万人規模程度の市における試算によりますと、ごみ収集で約2億円、学校給食で約1億円、学校用務員で約1億円、学校警備で約1億円、公用車10台から20台で約5,000万円、ホームヘルパー30人で約5,000万円、文化・スポーツ施設の管理で約1億から2億円、保育所で3億から5億円、幼稚園で3億から5億円、学童保育で2億から3億円、計15から30億円という額が示されており、このほか調査の対象として取り上げたほかの業種を加えると、年間20億から40億円という額が浮く計算となります。同様に、これが人口20から30万人ほどの市になりますと、その額は年間40から90億円という、極めて大きな額となるとのことであります。住民に対するサービスが直営も委託もパートもほとんど変わらないとすれば、直営は民間に比べて毎年何十億円という額が余分にそこに投入され、いわばその金額だけがむだ金となってしまうのに対し、委託、パートだとその額がまちづくり等に振り向けられ、生きた金となるのです。ましてや民間の方が公立よりもサービスがよいとなれば、民営化によって得られる効果はここに示された数字以上のものがあると言えます。

 そこで最後に、1、常にコストの面から行政を見る、2、納税者に直営か民営かを選択してもらうためにコストの公開を行う、3、行政改革は文字だけでなく数字で示す、4、管理は行政でなく民間、地元、また嘱託、パートにゆだねる、以上4点について要望させていただきまして、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。

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