2001.06.19 : 平成13年第2回定例会

【2番(中島資浩議員)】 順次総括質問をさせていただきます。

 過日群馬県環境アドバイザーの一員として、環境先進国であるドイツとオーストリアへ環境問題視察に参りました。今回の視察で、環境問題への取り組み上、最も基本的な点で痛感いたしましたことは、日本との常識の違いでありました。今回訪れましたドイツの環境首都と言われておりますフライブルク市とミュンヘン市、それにオーストリアのウィーン市では、いずれもごみの有料化が実施されておりました。また、私自身ごみの減量、リサイクルの推進の決め手として理想とする生ごみの堆肥化もその形態に違いこそあれ、前述のそれぞれの都市でこれが行われておりました。要は、日本におけるアメリカ型の大量生産、大量消費、大量廃棄社会とは違い、環境に極力負荷を与えないシステムがきちんと確立されており、しかもそれが市民に受け入れられている点であります。私は、きちんとした循環型社会システムの確立が意識の向上に結びついているということを実感いたしました。そこで、環境政策を中心に何点かお尋ねいたします。

 まず、ごみの有料化についてであります。我が前橋市は、リデュース、リユース、リサイクルを合い言葉にリサイクル都市前橋を目指し、ごみの減量とリサイクルに取り組んでおりますが、残念ながらごみの大幅な減量にはつながっておりません。私たち一行が訪れたフライブルク市は1998年、13年前に比べ、最終処分場に埋め立てられるごみの量を6分の1にまで減らすことに成功し、当初1997年に満杯になる予定だった最終処分場が現在のところ2010年まで使用可能になったとされております。しかし、これだけ大きな効果をもたらすためには大きなインセンティブが必要です。今回の視察を通じ、ごみの減量化を実現するには、まずその発生抑制を促すことであり、そしてその実現にはごみの有料化が大きな決め手となっていました。前橋市では、平成11年度ごみ処理に約37億円、市民1人当たり1万3,000円の費用がかかっており、これは当然目に見えないごみの有料化と言っても過言ではありません。しかし、ごみの発生抑制のメカニズムがうまく働かないために、さらなる最終処分場の確保が必要となってしまいました。私は、前橋の美しい自然をいつまでも残したいといつも思っています。環境を破壊するテンポをたとえ1秒でも1分でもおくらせたいと考えています。そこで、出すごみの量に対してお金がかかるシステムを導入することによって、おのずと人の心理はごみの減量に向かうはずです。ごみの有料化の実施について、当局のお考えをお伺いいたします。また、その際これまで十分でなかったごみの分別を徹底させるために、今回視察いたしました3都市同様、分別されたものに関しては無料とすることも分別の精度を高める一つの方策であると考えますが、あわせて当局の考えをお聞かせください。

 次に、生ごみの堆肥化についてお尋ねいたします。さきにも申し上げましたとおり、ごみの減量を実現するには、まずごみの発生抑制でありますが、次に考える必要があるのは、出てしまったごみはできるだけ分別し、リユースあるいはリサイクルすることであります。本市においても古紙類、瓶、缶、ペットボトル等の分別収集を行い、リユース、リサイクルの促進に取り組んでおりますが、燃えるごみの3割を占めるとも言われております生ごみは水分を含んでおり、焼却には適しておらず、温度が低下することによるダイオキシンの発生も心配されることから、これをリサイクル、堆肥化した方がごみの減量化にもつながり、有効であると思いますが、この点について当局のお考えをお伺いいたします。

 次に、マイ・バッグの推進についてお尋ねいたします。ごみの6割から7割が包装容器であると言われており、過剰包装をなくすことでかなりのごみの減量が達成できるものと思います。今回視察いたしました3都市でも、ごみ減量の観点から簡易包装が徹底されており、小売店でのレジ袋はどこでも有料となっておりました。そのためお年寄りから若者まで小売店等で売られております既成のマイ・バッグやおしゃれなトウのかごなど、それぞれのマイ・バッグを持って買い物に出かけておりました。県内の小売店でも環境への負担減は事業者の使命であると環境への取り組みの中でマイ・バッグ、マイ・バスケットの導入を始めたところもあるようですが、まだその動きも、またその利用者もごくわずかのようであります。市民が日常生活の中で環境に配慮し、ごみの減量化を図るための工夫として、買い物をする際にマイ・バッグを持参し、むだな袋を断る、過剰包装を断るといったことを実践していくことが重要であると考えますが、当局のお考えをお聞かせください。

 次に、環境教育についてお尋ねいたします。フライブルク市とウィーン市では、両市の環境行政に携わる幹部職員から直接両市の環境行政についてお話を聞く機会がありました。その中で、お二人が異口同音に強調されておりましたことは、環境教育の重要性であり、環境意識の向上をうまくやる秘訣は子供に対する環境教育だと言われたことが大変印象的でありました。両市では、幼稚園児、小学生等子供たちへの環境教育に力を入れ、子供たちの力、実行力から大人たちの行動を変えさせようとしております。現に環境教育を受けた子供たちが資源をむだ遣いする親たちをしかる光景も珍しくないといいます。本市でも環境教育に積極的に取り組んでいく必要があると思いますが、当局のお考えをお尋ねいたします。

 次に、公共交通網の整備と利用促進についてお尋ねいたします。近年地球の温暖化が世界共通の問題となっており、CO2排出量の削減が喫緊の課題となっておりますことは皆様ご承知のとおりであります。本市におきましてもその対策に取り組んでいるところでありますが、その有効な対策として自動車交通量の削減が考えられます。しかし、そのためには公共交通網の整備と利用促進が不可欠であります。今回訪問いたしました3都市でも公共交通網が大変発達しておりましたが、特にフライブルク市では約50キロ四方の範囲内において鉄道やバスがフリーパスとなる環境定期が販売されておりました。これは月額約4,200円程度で、これ1枚で大人2人、子供2人までが同乗でき、また他人への貸し出しも可能となっているなど、利便性に大変すぐれていることから公共交通を利用する市民が以前の3倍となり、市内を走る車の台数も約3万台減少したとのことでありました。本市においても環境保全の観点から公共交通の利用促進を図るために鉄道、バスの相互利用が可能な環境定期の導入を検討してみたらどうかと考えますが、当局のお考えをお聞かせください。

 次に、人事制度についてお尋ねいたします。さきに述べましたとおり、フライブルク市とウィーン市において環境行政に携わる幹部職員から直接お話をお伺いすることができたのですが、お話からみずからの市が行っている環境政策に対する並々ならぬ自信がうかがえました。フライブルク市の環境保全局長さんにお尋ねいたしましたところ、18年にわたり環境行政に携わっており、希望すれば退職するまでいられるとのことでありました。日本の場合は、平均して4年前後で人事異動となるのが通例だと思いますが、地方分権の進展に伴い職員の専門性が問われる時代となる中で、それぞれの分野におけるエキスパートを育て、リーダーシップを発揮して一貫性、継続性のある政策を推し進めていただくためにも希望すれば同じ部署で長年にわたり生きがいを持って仕事に従事できるような道を開いてもよいのではないかと思いますが、当局のお考えをお伺いいたします。

 最後に、校庭の芝生化についてお尋ねいたします。先日カナダ人の友人と話をしていると、なぜ日本の校庭は芝生ではないのかと尋ねられました。今まで気づかなかったのですが、確かに映画などに出てくる外国のキャンパスは芝生で覆われております。週1回放課後の校庭を借りてサッカーをしている友人からも、校庭が芝生であればもっと思いきってサッカーを楽しむことができるのにとの声が聞かれました。校庭が芝生であれば大人のみならず児童も転んでけがをする心配もなく、元気に遊ぶことができると思います。また、冬北風の強い前橋では校庭から飛んでくる砂ぼこりの問題もかなり解消されるものと思われます。昨年国のスポーツ振興基本計画にも校庭の芝生化促進が盛り込まれ、ことし5月には県において校庭の芝生化に対する補助制度が施行されたとのことであります。校庭の芝生化、緑化に積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、当局のお考えをお聞かせください。以上で私の第1質問を終わります。

【生活環境部長(藤井正彦)】 環境問題につきまして順次お答えいたします。

 まず初めに、ごみの有料化についてでございますが、一般廃棄物につきましては、市町村においてその処理を行う責務がございまして、その処理経費の多くが税金で賄われております。しかし、家庭ごみの減量化を図り、リサイクルを推進していくためには排出者であり、また受益者でもある市民が市とともに負担を担うことが必要であると考えております。現在家庭ごみの有料化がごみの減量化、発生の抑制効果、さらに分別が徹底され、資源回収量の増加につながっているのか等を検討するため、家庭ごみの有料化を実施している自治体について調査研究を行っているところでございます。

 次に、有料化の形態の考え方でございますが、現在の使い捨ての経済社会の構造から循環型社会へ変換する必要がございます。今までの本市の施策としまして、指定袋の導入や地域の有価物回収、分別排出等の取り組みもごみの減量化や発生抑制であると考えております。したがいまして、ごみを出さないことに努力している市民、ごみの分別に協力してくれた市民、また漫然とごみを出し続けている市民が同負担では不公平が生じると考えております。このことから不公平を生じない最良の方法をあわせて研究したいと考えております。

 次に、生ごみの堆肥化についてでございますが、家庭から排出される生ごみを減量化することは焼却炉や最終処分場の延命対策として重要なことと認識しております。生ごみを堆肥化などによって減量化する効果的な方法として生ごみ処理機の利用がございます。本市におきましては、処理機の購入費に対しまして助成を行っております。この制度を市民の皆さんがさらに活用しやすいように本年4月から電動式生ごみ処理機の助成額を購入費の3分の1に見直しをさせていただいております。今後も本制度を啓発し、生ごみの自家処理を促進していきたいと考えております。

 次に、マイ・バッグの推進でございますが、市民、事業者、市が日常生活において常に環境へ配慮することが重要だと考えております。とりわけ買い物に際してマイ・バッグ持参による取り組みを進めております。その一環としまして、現在市内でマイ・バッグを奨励している店、ごみの減量やリサイクル活動に取り組む小売店、商店街を地球にやさしい店舗として登録していただき、市がこれらの取り組みを市民の皆さんにPRし、環境保全に配慮したライフスタイルを推進しております。また、市民に対して登録店舗の状況を初め広くリサイクル情報を提供していくため、リサイクル情報紙を発行し、全戸に配布しております。今後もこのマイ・バッグ制度の取り組み店の拡大を図っていきたいと考えております。

【指導部長(須田一男)】 環境教育につきましては、環境問題は21世紀に生きる児童生徒にとって重要な課題であると考えており、学校教育の充実を図る上での一つとして掲げ、環境教育の積極的な推進に努めてまいりました。平成4年度から毎年環境教育の実践推進校を設け、環境問題に対して責任ある行動がとれる人づくりを目指して実践研究を進めております。具体的には、小学校では家庭から出るごみ調べや清掃工場の見学などの体験学習を通してごみの処理やリサイクルについて指導しております。また、中学校では理科や技術・家庭科等の学習を通して地球規模の環境問題をとらえるとともに、生ごみや空き缶など家庭からの廃棄物の減量化や分別収集の重要性について省資源、省エネルギー、環境保全の観点から日常生活での実践に関連づけて指導しております。これらの取り組みから環境問題への意識が高まり、地域の美化活動やエコクラブにみずから参加したり、家庭においても牛乳パックのリサイクルや油汚れは水に流さずに紙でふき取るなど、身近でできることを積極的に実行している児童生徒も数多く見られるようになってきております。これからも現在推進している環境教育の一層の充実を図るとともに、具体的な実践を伴った活動となるよう指導してまいりたいと考えております。

【市長公室長(宮地英征)】 環境定期についてでございますが、現在上毛電鉄において試行的に実施をしておりますが、PR不足からか、それほど利用は多くないと聞いております。また、バス交通については、一般乗合路線と市が委託をしている路線があるため、一律に実施することは困難な場面があると考えられます。しかし、バス利用の現状といたしまして、平日の特に通勤通学時間帯に利用が集中しており、休日は利用者が少ないという状況でございますので、車からの転換を促し、休日の利用を促進するという観点から環境定期は有効ではないかと思われます。したがいまして、来年2月に施行される改正道路運送法により運賃に対する規制も一部緩和されるという状況もございますので、そうした変化も踏まえまして研究してみたいというふうに考えております。

 次に、人事制度についてでございますが、行政の継続性と関係市民との良好な関係を維持する上で、部門によっては高い能力と使命感を兼ね備えた専門的な職員の配置も必要であろうかと考えております。しかし、専門的な職員の配置は市民のさまざまな要求にこたえるためには有効ではありますが、職員の意向とともに長期に在職させることの人事上の弊害についても考慮しなければならないと考えております。

【管理部長(阿部明雄)】 校庭の緑化、とりわけ芝生化につきましては、現在各学校を含め教育委員会内で研究を始めたところでありまして、具体的な実施規模、内容、方法についてはこれからという段階でございます。校庭を芝生にすることにつきましては、議員さんのご指摘のように校庭の安全面の促進、また砂ぼこりの解消のための一方策とも考えられます。また、児童が土の上で遊んだり、学んだり、土に直接触れることも大切なことだとする考え方もあります。また、芝の養生期間など芝生化したスペースの使用を制限されること、さらには芝刈り、手入れなど維持管理の問題なども考えられます。校庭の芝生化につきましては、さまざまな課題がありますが、学校、関係部課とともに研究してまいりたいと、このように考えております。

【2番(中島資浩議員)】 ありがとうございました。幾つかの点につきまして第2質問をさせていただきます。

 まず、生ごみの堆肥化についてでありますが、先ほどのご答弁にもございましたように、本市では生ごみ処理機購入費への助成をすることによって家庭から出る生ごみの減量化に努めているところでありますが、購入、使用した市民の方々から聞いた話によりますと、生ごみ処理機の扱い方が非常に難しく、なかなか長続きしないとのことです。私は、生ごみを分別回収し、堆肥化あるいはその過程において発生するバイオマス・エネルギーの有効利用を考えた方が得策であると思いますが、当局のお考えをお伺いいたします。

 次に、マイ・バッグの推進について、さらにお尋ねいたします。マイ・バッグを普及させるためには、レジ袋の有料化は大変効果的であると考えます。本市といたしましても、ごみの減量という観点からマイ・バッグの普及を図るためにレジ袋を有料化するなど、小売店とも積極的に連携、協力していく必要があると思いますが、当局のお考えをお聞かせください。

 次に、環境教育についてお尋ねいたします。ただいま環境教育の積極的な推進に努めてきたとのご答弁をいただきましたが、残念ながら今の高校生や二十歳前後になっている世代がほかの世代に比べて環境に対する意識が高いとは思えません。むしろ低いようにも思われます。ドイツの小学校では、入学前に先生からできるだけ再生品の文具を使用するように指導が行われ、使い古しの教科書が使われ、吸引式万年筆が使用されているそうです。また、ドイツには環境教育センター、エコ・ステーションが約400あり、まさに環境教育の拠点となっておりました。さらに、環境教育を充実する観点からフライブルクのごみアドバイザー4名のうち2名は教職を持っている方でありました。本市においても、ドイツのように環境問題における子供が親への浸透剤となるよう、また生徒を指導する教師自身の環境意識を高めるためにもエコ・ステーションをつくり、環境団体、ボランティアの協力を得て環境教育のさらなる充実を図る必要があると思いますが、当局のお考えをお伺いいたします。

 次に、人事制度についてお尋ねいたします。先ほどのご答弁の中で、長期に在職させることの人事上の弊害のご指摘がありました。確かに弊害が生じることも懸念されますが、メリットもはかり知れないものがあると思います。情報公開あるいは監査等によってその弊害を取り除くことによりメリットを生かす方策を考えた方が得策であると考えますが、当局のお考えをお聞かせください。

 以上で私の第2質問を終わります。

【生活環境部長(藤井正彦)】 生ごみの分別収集による堆肥化、エネルギー化についてでございますが、分別収集の方法や処理方法を経費面、費用対効果、需要と供給などを含めて先進都市の事例を研究してみたいと考えております。

 次に、マイ・バッグの普及でございますが、これまで小売販売店ではレジ袋削減への取り組みにつきましては、お客様の利便性やサービスの低下などにつながるとの考えや代替品や手間、コストがかかることなどの理由から普及していない現状にございました。しかし、小売販売店もごみを減量することが日常生活の中で環境保全に必要なこと、また消費者の要望があること、さらには経費の節減等の観点から徐々に取り組んでいる店がふえております。本市におきましても、ごみの減量化やリサイクル意識の高揚を図るためごみの多くを占める容器包装の中でも市民の日常生活に密着しているレジ袋について買い物の際にはマイ・バッグ制度や簡易包装に努めるなどの普及啓発をリサイクル活動に取り組んでいるお店に働きかけていきたいと考えております。

【指導部長(須田一男)】 環境教育のさらなる充実についてですが、学校では総合的な学習の時間などで環境にかかわる学習を取り上げ、環境問題の現状把握、自然体験、調査活動、環境保全活動、環境美化活動など保護者や地域の方の協力を得たさまざまな取り組みが行われ、成果を上げておりますので、今後も地域のボランティアなどの協力を得ながら環境教育の充実に努めてまいりたいと考えております。

【市長公室長(宮地英征)】 同一職場に長期に在職させることについてでございますが、職員配置に当たっては適材適所の基本原則のもと、職員の能力、適性などが十分に発揮されるよう努めるとともに、人事の停滞を招かぬよう一定のローテーションにも留意し、さらに職場の内外を通じた研修などを通じて専門性が要求される職場に配置される職員のレベルアップを図りながら適正な人事管理に努めてまいりたいと考えております。

【2番(中島資浩議員)】 ありがとうございました。最後に、第3質問にかえて要望させていただきたいと思います。 我が前橋市は、水と緑と詩のまちあるいは人と自然が共生する環境・文化都市をスローガンとして掲げております。私もこれらはまさに前橋の特性を生かした我が市が21世紀目指すべき都市像であると確信いたしております。今その理想の実現に向けて大きな一歩を踏み出すに当たって、あらゆる施策の中心に環境をシフトするような政策の大転換を図る必要があると思います。また、そうすることが前橋市の個性を生かした魅力あるまちづくりにつながり、地方分権の行く末に訪れるであろう人がみずからの住む場所を選ぶ時代において人口の増加にも結びつくでありましょう。ぜひ今回質問させていただきました事項につきましても前向きにご検討いただき、我が市もいつの日か日本の環境首都と呼ばれるようになりますことを期待いたしまして、私の総括質問を終わります。ありがとうございました。

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